新入社員について

 某電機メーカでの新入社員の自殺が報道されている。自殺の原因は、仕事上の人間関係らしい。確かに、苦手な上司や同僚が隣の席であれば、常にストレスを感じるし、日々苦悩が堆積してくる。特に新入社員のような立場では、上司に向かって面と向かって言うのは難しいだろう。目をつけられて、評価が下がったり、仕事の助力を得られなくなるというのは、新人にとっては致命的に感じるだろう。

 会社で働いていく中で、「仕事ができない」というのは高いストレスとなる。上からの叱責、自信喪失などマイナスな方向に一直線となる。多少物言いが強い人であっても、仕事ができる場合問題になることは少ないと感じる。仕事ができるというのは会社で生きていく上でこの上ないアドバンテージであるのは確かだ。とはいうものの、すべての人間が仕事ができるわけではない。職種が自分にあっていない時は特にそうだ。(本当に優秀な人は、大抵の環境に適応できるのだろうが...)

 今の世のでは、働くことが生きている時間の大半を占めているので、仕事でのストレスはより大きくなる。ストレスが多くなるにつれて思考は鈍り、自分の視野も狭くなってしまう。このような状態になると、仕事に行くのが強烈なストレスとなり体調も悪くなる。毎日朝が苦しくなり、今すぐにでも楽になりたいという気持ちが強くなる。会社を辞めるという選択肢をとるにも、辞めるまでに会社でやらなければならないこと(上司へ伝えることなど)、会社を辞めた後の生活(金の問題)、辞めた場合の家族への対応を考えると億劫になるというか、その先も苦しいなという気持ちになる。こんな思考になってしまえば、自ら命を絶つという選択にもなってしまうのだろう。

 働く人との関係、周囲の目、世間の考えなどに無意識のうちに自分が縛られて身動きがとれなくなって苦しんでいる人もいるだろう。働かざるもの食うべからずなどの諺もあるが、今働くことを主軸に置くのは苦しみが増える一方になる気がする。少なくとも少子化により国内人口が減り、高齢者の割合も急増する世の中で、国内の経済は冷え込む一方だろう。そんな世の中で給料は頭打ちになるだろうし、労働環境も良くはならないだろう。今の方策だと、70歳まで働く、みんなで貧しくなろうというメッセージしか感じられない。働くことで得られるメリットはますます少なくなるのに、そこに自分の軸足を持っていくのは得策ではない。別にガンガン働く人は働けばいいが、ガンガン働けない人間はその人間なりの戦略を持って生きていかないと、更に苦しくなっていくだけだろう。

 とは言うものの生きていくためには金が必要だ(ある程度)。金がなくとも生きていく方法はあるだろうけど、自分の欲を考えるとある程度は必要だ。となると会社員として働く必要がある。けど働くのはつらい。どうするか?多少元気がある時は、転職もいいし、副業について考えて行動してみるのがいい。少しずつ会社から自由になるのが今後も必要な気がする。元気が無いときはどうするか?会社を休むしかない。休まずに会社に行って心や体を壊したくない。仕事の進捗や上司の評価など色々考えるだろうが、それでも休むべきだと思う。評価が下がり、給料は増えないかもしれない、下がるかもしれない。それでも一線を越えるよりずっといい。休んで自分が楽しい、良いと感じることをしたい。些細なことでいい、人に言う必要はない。自分が楽しければいい。異性にもてずとも、称賛されずとも、自分が満足することを優先したい。

 世の中の大多数の人が得る幸せを自分自身は得られないのかもしれない。でもそれは本当にほしいのだろうか?本当はたいして欲しくないものを得ようと苦しむよりも、本当にほしいものを得ていきたい。そのためには、何かを犠牲にするのかもしれないが、自分自身は犠牲にしないよう自戒したい。

 死んでしまっては、どうしようもない。