「天気の子」をみて昔を思い出す

 新海誠監督の最新作「天気の子」を先日鑑賞してきた。娯楽としては前作である「君の名は」の方が完成度が高いが、自分の心にきたのは断然「天気の子」であった。

 ネットの様々なところで書かれているが、「天気の子」は00年代に流行した「セカイ系」に近い。「ヒロインが特殊な能力を持ち、主人公と逃避する。」「世界の巨悪とぶつかるのではなく、ごく普通な人々との衝突。」などあの頃にプレイし見た作品を思いだした。

 この作品を見て自分は昔こんな作品が好きだったということを思い出して、懐かしい気持ちになった。この十数年の間に自分が気づかないうちに忘れて行った色々な大切なものを再発見した気持ちになってうれしかった。この作品をみてすがすがしい気持ちになった。

 昔は夏になるたびに「イリヤの空UFOの夏」を読み返していたが、いつの間にか読まなくなり、実家の本棚の奥にしまったままだ。今年の夏休みは、読み返したい気持ちにかられた。

 毎日、仕事や雑務に追われて自分が熱中していたものや大事だったものを忘れていることを自覚した。気づいたら自分はこの作品に出るような「大人」になっていた。社会のルールや規範など世の中の「正しさ」の側になっていた。「正しさ」は多くの人にとっては、メリットもある一方息苦しさにもなっていて、作品の中でそれに抗う姿をみて爽快感を感じるのは、自分の中にも少し抗いたいという気持ちがあるのかもしれない。